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制作期間2ヶ月と言われたコーポレートサイトを、7日で作った — 見積もりは約250万円

制作期間2ヶ月と言われたコーポレートサイトを、7日で作った — 見積もりは約250万円

3Dモデルを使ったトップページのサイトを作りたい。そう相談したとき、返ってきたのはこの言葉でした。

「実装の難易度が高い。制作期間に2ヶ月ください」

見積もりは、あれこれで総額約250万円。妥当な提案だったと思います。

そのトップページは、結局7日でできました。当社が、自分たちで作りました。

ただ、これを「ぼったくっていた」という話として読まないでください。そうではありません。そして、当社自身もWeb制作を請け負っている会社です。そのうえで書きます。

「難易度が高い」が、どれくらい難しいのか分からなかった

いま振り返って、いちばん問題だったのはここです。

250万円が妥当なのか、当社には判断できませんでした。2ヶ月という期間が妥当なのかも、判断できませんでした。そして「実装が難しい」が本当なのかどうかも、判断できませんでした。

当社が知っているCMSは、WordPressだけだったからです。判断材料を持っているのは、見積もりを出した側だけでした。

これは医療・介護の経営でも、まったく同じことが起きています。電子カルテの入れ替え、レセコン、予約システムの導入。「その機能はうちのシステムでは難しいです」と言われたとき、それを検証できる経営者が、どれだけいるでしょうか。

相手に悪意があるという話ではありません。「うちのやり方では難しい」が「原則難しい」として伝わるのは、ごく自然なことです。問題は、それを聞いた側に、確かめる手段がないことです。

では、どう確かめればよかったのか。当時は分かりませんでしたが、いま振り返ると、聞けたことが3つあります。

ひとつ、「それは御社のやり方だと難しい、ということですか。それとも技術的に難しいということですか」と聞く。この2つはまったく別の話です。

ふたつ、「なぜ難しいのか」を、専門用語を使わずに説明してもらう。説明できない相手は、自分でも整理できていない可能性があります。

みっつ、同じ相談を、別の会社にもしてみる。医療でセカンドオピニオンを取るのと同じです。1社の「難しい」が業界の総意とは限りません。

どれも専門知識は要りません。知識がなくても、質問はできます。

そこから調べ始めて、microCMSというものに行き着きました。ヘッドレスCMSと呼ばれるもので、記事の管理と、サイトの見た目が切り離されています。だから見た目の作り込みに、CMSの制約がかかりません。

ここは正確に書きます。WordPressでも、時間と技術をかければ作れたかもしれません。当社が相談した会社のやり方では難しかった、というだけの話です。

ただ、WordPressしか知らなかったから、この選択肢が視界に入っていなかった。これは事実です。知らない選択肢は、検討することすらできません。

7日間で、コーポレートサイトを一から作り直しました。全ページのデザイン、microCMSとの連携、問い合わせフォーム(迷惑投稿対策と自動返信つき)、そして問題のトップページのアニメーション。

かかった費用は、AIの月額利用料だけです。ClaudeとChatGPTの有料プラン。月に数万円の世界です。

250万円と2ヶ月が、7日と月数万円になった。そう書くこともできます。でも、それは正確ではありません。

7日間、当社の代表はフルタイムで張り付いていました。経営者の7日は、タダではありません。その間、他の仕事は止まっています。

外注すれば250万円と2ヶ月。自分でやるなら7日と、経営者の7日分の時間。金で時間を買うか、時間で金を買うか。それだけの話です。

制作会社の「2ヶ月」は、間違っていませんでした

ここが、いちばん誤解されそうなところです。

2ヶ月という見積もりの中身の多くは、実装時間ではありません。確認と修正の往復です。

デザインを出す。当社が見る。「ちょっと違う」と言う。修正する。また見る。この1往復に、数日かかります。相手も他の案件を抱えているからです。往復が3回あれば、それだけで2週間が消えます。

当社が速かったのは、AIが速いからではありません。発注者と実装者が、同じ人間だったからです。

例を挙げます。トップページのアニメーションを、8回作り直しました。「ごちゃついている」と感じるたびに、全部捨てて組み直した。制作会社を相手にこれをやったら、「仕様変更ですね」と言われて、追加料金と2週間の遅延です。当然です。

当社は、それをその場で、無料で、8回やりました。判断が、往復ゼロで実装に落ちるからです。

制作会社の2ヶ月は、彼らのやり方では妥当な見積もりでした。変わったのは値段ではなく、意思決定の往復が消えたことです。

これはWeb制作だけの話ではありません。

電子カルテの帳票を少し変えたい。シフト表のフォーマットを直したい。患者さん向けの説明資料の文言を修正したい。どれも作業そのものは短いのに、実際には数週間かかります。依頼して、見積もりが出て、確認して、修正して、また確認する。時間を食っているのは実装ではなく、往復です。

内製の価値は「速い」ことではありません。往復が消えることです。そしてそれは、AIがあるかどうかとは別に、誰が判断を持っているかで決まります。

AIは広げてくれる。絞ってはくれない

ここが、この記事でいちばん伝えたいことです。

AIを使っていて痛感したのは、「あれもこれもできる」が止まらなくなることでした。機能を足すのは一瞬です。頼めば「こういうのもできますよ」と提案までしてくれる。広げるのは、驚くほど簡単でした。

苦しかったのは、収束させることです。

さっきのアニメーションの話がまさにそれです。粒子が集まって、ロゴになって、文字が書かれる。そこまでは良かった。ただ、光の演出や、カウンターや、星をひとつ足すたびに、画面はどんどん散らかっていきました。

AIは、頼めば何案でも出します。でも「これはごちゃついている、全部やめよう」と言えるのは、人間だけでした。最終的に採用したのは、要素をいちばん削った案です。

つまりこういうことです。AIを使うと、得意なところは一気に加速します。そして、苦手なところは、もっと苦しくなります。

AIは判断してくれません。「これは要らない」と切る仕事は、最後まで人間に残ります。

本当の価値は、金額ではありませんでした

サイトが完成したあと、コラムを1本公開しました。その作業中に、SNSでシェアされたときの表示設定にバグがあることに気づきました。その日のうちに直しました。

制作会社に頼んでいたら、こうなります。連絡して、状況を説明して、見積もりが出て、作業日が決まって、直る。2週間と、数万円です。そして多くの場合、「その程度なら、まあいいか」と放置されます。

サイトが古いまま放置される理由は、経営者が怠慢だからではありません。直すのが面倒で、お金がかかるからです。

7日で作れたことより、そのあとずっと、思いついたその日に直せること。これが本当に変わったところでした。同じやり方で、いまは医療職向けの無料診断ツールを15本、自社で開発して公開しています。

勧める相手と、勧めない相手

正直に書きます。この方法は、すべての法人に勧められるものではありません。

勧めるのは、こういう法人です。Webにある程度明るいスタッフがいる。あるいは、経営者自身が業務改善に直接手を出したいと思っている。既存のパッケージソフトでは実現できないことを、自分たちの形で作りたい——そういう場合、AIは強力な道具になります。

勧めないのは、こういう場合です。アイデアを広げるのは得意だけれど、絞るのが苦手だという自覚がある場合。この方法をとると、何ひとつ完成しないまま、時間だけが消えていきます。機能は無限に増え、いつまでも「もう少し」が続き、公開日は永遠に来ません。それなら、期日を切ってくれる制作会社に頼んだ方が、確実に安く済みます。

もうひとつ、正直な話をします。当社が運営している医療職向けメディアは、いまもWordPressのままです。400本を超える記事が入っていて、移行のコストが見合わないからです。「これから新しく作るならmicroCMSを選ぶ。でも、動いているものをわざわざ壊す理由はない。」それが今の判断です。

判断の物差しは、ひとつだけです。「これは要らない」と、自分で言えるかどうか。

AIは頼めば何案でも出します。選択肢が増えることは、迷いが増えることでもあります。足すのは一瞬で、捨てるのは苦しい。この苦しさを引き受ける覚悟がないなら、外注のほうが確実に安く済みます。プロは、捨てる判断も込みで請け負ってくれるからです。

なお、時間を作れるかどうかという別の壁もあります。そちらは1,000万円の見積もりだった業務システムを、非エンジニアがAIで作った(そして大変だった)に書きました。

明日、できること

最後に、明日できることをひとつ。いま抱えている「難しいと言われた案件」を、ひとつ思い出してください。電子カルテでも、予約システムでも、ホームページでも構いません。

そのうえで、相手にこう聞いてみてください。「それは御社のやり方だと難しい、ということですか」。

この質問には、専門知識が要りません。それでも、返ってくる答えは変わります。「そうです、うちの構成だと」と返ってくれば、別のやり方を探す余地があるということです。「いえ、技術的に無理です」と返ってくれば、それはそれで判断材料になります。

AIで作れるようになったことより、この質問ができるようになったことのほうが、当社にとっては大きな変化でした。

なお、AIが書いたコードをどう扱っているか——別のAIにレビューさせる運用の中身は、AIのコードを、別のAIにレビューさせる運用に書きました。技術的な話なので、この記事では扱いません。

250万円を払わずに済んだことより、「かなり難しい」を検証できる状態になったことの方が、経営としては大きな変化でした。

いま同じことを言われたら、こう聞き返せます。「どういう構成なら作れますか」「なぜそれが難しいのですか」「他のやり方はありますか」。答えを持っていなくても、質問さえできれば、判断は自分の手に戻ります。

当社は、医療・介護の事業者向けにAI活用の支援ホームページ・コンテンツ制作を行っています。作り方を教えることも、当社が作ることも、どちらも承っています。ただ最初にお伝えするのは、いつも同じです。まず、何を作らないかを決めましょう。

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