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AI研修は、発注する前に決まっています — 会社が先に決める3つ

AI研修は、発注する前に決まっています — 会社が先に決める3つ

AI研修を発注する前に、会社が決めておくことが3つあります

AI研修を発注する前に、会社が決めておくことが3つあります。どのAIを標準にするか、どこまでの情報を入れてよいか、AIが作ったものを誰が承認するか。 この3つは、教える側では決められません。

研修のご相談をいただくと、最初に出てくるのは「何を教えてもらえますか」です。プログラムの中身から入るのは自然な順番に見えますが、実際には後ろです。上の3つが決まらないまま当日を迎えると、その場で決めることになります。講師の側では決められないので、話は一般論に寄ります。参加者は、自分の職場に当てはめられないまま席を立ちます。

3つに共通しているのは、どれも会社の方針であって、個人のスキルではないことです。スキルは教えれば上がります。方針は、教えても上がりません。決める人が決めるまで、空欄のままです。空欄のまま研修を入れると、参加者は空欄を自分で埋めます。埋め方は人によって違うので、翌日から職場の中でばらつきが出ます。

決めないまま発注しても、当日は成立します。困るのはそのあとです。研修の直後は全員が触っていて、しばらくすると決まった何人かしか開かなくなる。この経過そのものは別の記事に書きました。原因はいくつかありますが、そのうち1つは、持ち帰った人が「自分の職場でどこまでやっていいか」を判断できないことです。判断できないときに人が取る行動は、ほぼ1つです。使わないことです。

もう1つ、研修の相談でよく挙がる論点があります。「誰に何を教えるか」です。これは決まります。測れば決まるからです。先にそちらを片づけます。

誰に何を教えるかは、測れば決まります

対象者の決め方は、決められない側ではありません。社員それぞれのAI活用がいまどの段階にあるかを測れば、教える内容は決まります。測り方は以前の記事に書いたので、ここでは繰り返しません。

その記事で、当社はこう書いています。「この違いを言葉にできないまま研修を発注すると、受講者の半分には簡単すぎて、もう半分にはついていけないという結果になります」。そして、悪いのは教える側ではなく、誰に何を教えるかが決まっていないことだと続けています。

測る対象は「使っているかどうか」ではありません。出てきた答えをそのまま使っているか、確かめてから使っているか、確かめる条件を先に書いているか。同じ「使っています」でも中身が違うので、本人に聞くだけでは分かれません。指示の文面と、出てきた答えの扱い方を見ると分かれます。

測ったあとで困るのは、段階が揃っていないと分かった場合です。揃うまで待つ必要はありません。研修を分けるか、対象を絞るかを選べば済みます。どちらを選ぶかは会社が決めることですが、これは材料が揃えば決まります。 誰がどの段階にいるかという材料が出れば、選択肢は2つに絞られ、あとは予算と日程の話になります。

ここで押さえておきたいのは、対象の決定は測定で片づく側だということです。片づかないのが、残りの3つです。測っても決まりません。誰がどの段階にいるかを全員分そろえたところで、どのAIを標準にするかは1文字も決まらない。会社が決めるまで、空欄のままです。以下、順に見ます。

どのAIを使うかは、研修では決まりません

標準にするAIを決めるのは会社です。研修の当日には決まりません。

当社グループの訪問看護ステーションから、こう聞かれたことがあります。「AIの種類が多いので、どれを使ったらいいか」。同じ質問は、知人の経営者からも日常的に受けます。件数を数えたことはないので、どれくらい一般的なのかは言えません。 ただ、研修の相談より先にこの質問が来ることは珍しくありません。

研修の場でこれに答えられない理由は、答えが会社の事情で決まるからです。すでに契約しているサービスがあるか。扱う情報に、外に出せないものが含まれるか。費用をどこから出すか。個人のアカウントで使わせるのか、法人で契約するのか。どれも講師が決めていいことではありませんし、当日その場で調べて決められることでもありません。

決めずに研修をやると、参加者はそれぞれ手元にあるもので試します。ある人は個人のアカウント、ある人は職場の共有パソコン、ある人は自分のスマートフォン。同じ研修を受けたのに、翌日から使う道具がばらばらになります。 そうなると、うまくいった手順を人に渡せません。「その画面はこちらには無い」で止まります。手順が渡らないと、うまくいった人のところで話が終わります。

当社の場合、開発の領域ではAIを役割ごとに分けて使い、そう決めた理由まで文書に残しています。医療・介護の現場で、最初からそこまでやる必要はありません。まず1つを標準にして、それ以外は当面使わない。 決めるのはこれだけで足りますし、これが決まっていれば研修の中身も具体的になります。増やすのは、標準にしたものが定着してからで間に合います。

どこまでの情報を渡してよいか、決めていますか

入れてよい情報の範囲は、研修より前に会社が決めておくものです。決まっていないと、参加者は当日その場で判断します。基準を持っていないので、判断は「たぶん大丈夫だろう」になります。

個人情報保護委員会は2023年6月に、生成AIサービスの利用について注意喚起を出しています。事業者に向けて、個人情報を含むプロンプトを入力するときは利用目的の範囲内かどうかを十分に確認すること、本人の同意を得ずに個人データを入力する場合は、そのサービスが機械学習に使わないことを十分に確認することを求めています。名宛人は事業者であって、入力する個人ではありません。

医療・介護には、もう1つ線が重なります。医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスは、訪問看護ステーションを対象の事業者として明記しています。そこでは、診療記録や介護関係記録に書かれた病歴、診療や調剤の過程で知り得た情報、健康診断の結果、障害の事実などを要配慮個人情報として挙げています。取得と第三者提供には、原則として本人の同意が必要です。

そして、この2つは重なっていません。医療・介護の事業者を名指しして、生成AIに何を入力してよいかを定めた公的な文書は、当社が調べた範囲では見つかりませんでした。 上のガイダンスは生成AIに1度も触れていません。厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインも、当社が読んだ範囲では同じでした。すべての文書を読んだわけではないので、どこかにある可能性は残ります。

つまり、線は自分で引くしかありません。 引き方は難しくありません。利用者や患者が特定できる情報は入れない、というところから始めれば足ります。氏名を伏せれば足りるのか、生年月日や住所の一部も外すのか。記録をそのまま貼るのは駄目でも、症状の一般的な説明を尋ねるのはよいのか。そこまで書いてあれば、参加者は当日迷いません。書いていなければ、迷った末に、いちばん慎重な人といちばん大胆な人で別々の答えが出ます。

AI研修が終わったあとの承認は、受講者の仕事ではありません

研修が終わると、AIを使って作られたものが増えます。記録の下書き、家族への案内文、社内の手順書。それを誰が確認して、誰の名前で外に出すのかを決めていないと、確認は作った本人がやることになります。

自分で作ったものを自分だけで確かめるのは、いちばん見落としが出る形です。AIの出力は、間違っていても文章として整っています。整っているものを、それを採用した本人が疑うのは難しい。研修で「必ず確かめましょう」と伝えても、確かめる相手が自分しかいなければ、目は増えません。

かといって「管理者が全部見る」と決めると、今度は管理者が詰まります。使う人が増えるほど、確認の量も増えるからです。詰まると、確認は形だけになります。形だけの確認は、無いのと同じか、あるぶんだけ悪い。見たことになっているからです。

当社では、AIに書かせたコードを、別のAIに点検させています。ただし、すべてを点検に回してはいません。どこで止めるかを先に決めているからです。範囲を決めずに全部を通そうとすると、確認する側が持たなくなります。

決めることは2つです。外に出るものと、中で完結するものを分けること。 そして、外に出るものは、作った人以外が1回見ること。 利用者や家族に渡す文書、他の事業所に送る書類、求人や広報に載せる文章。ここだけは1人で完結させない。中で完結するものは本人の判断で構いません。この線が引いてあると、研修の当日に「これは誰が見るんですか」という質問が出たときに、その場で答えられます。

明日、できること

3つとも、紙1枚あれば決まります。会議を設定する前に、いまの答えを書いてみてください。

  1. 標準にするAI — 1つ選び、当面それだけを使う。個人のアカウントで使わせるのか、法人で契約するのかまで書く。
  2. 入れてよい情報と、入れない情報 — 利用者や患者が特定できる情報は入れない、から始める。どこまで伏せるかを1行で書く。
  3. AIが作ったものの承認 — 外に出るものと中で完結するものを分け、外に出るものは作った人以外が1回見る。

書けたら、研修を依頼するときに添えてください。この3つが決まっていれば、当日のプログラムは会社の実情に合わせて組めます。決まっていなければ、どんなに良い講師でも一般論から始めるしかありません。研修の質を決めているのは、発注する側です。

3つを自社だけで決めるのが難しい場合は、当社でも入れていい情報といけない情報のルールづくりからお引き受けしています。初回のご相談は無料です。

参考

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