Googleマップに登録しても患者は増えない。埋もれるクリニックがやっていないこと

Googleマップにクリニックを登録した。でも、患者は増えない。
MEOの相談で、いちばん多いのがこのケースです。そして原因は、たいてい同じところにあります。
なお、この記事は患者さんが自分で探して来院するクリニックを前提にしています。訪問看護のように、利用者本人ではなくケアマネジャーに向けて書く必要がある業種では、打ち手の優先順位が変わります。
「登録して終わり」にしていることです。
登録は、看板を出しただけにすぎません
Googleマップにお店を出すのは、街に看板を立てるのと同じです。看板を立てただけで行列ができないのは、当たり前です。そこから先に、やるべきことがあります。
そもそも、患者さんはどこでクリニックを探しているのか。メディカル革命 byGMOが2024年に行った調査(n=15,715)では、初めて行く医院を探すときのツールは「Google検索」51.3%、「Googleマップ」29.5%でした。Gyro-nの調査(n=600)でも、情報源の1位は「Google検索・Googleマップ」で44.7%です。
つまり、半分の人がGoogleから来ます。そこに立てた看板が、情報が古くて口コミもない状態で放置されているなら、失っているものは小さくありません。
そして、たどり着いた先で口コミが読まれます。Gyro-nの同じ調査では、来院前にGoogleマップの口コミを確認する人が59.3%(「必ず確認する」26.0%+「時々確認する」33.3%)。6割が、行く前に読んでいます。
看板は立っているのに、そこに書かれていることが空白だったり、古かったりする。それが「登録して終わり」の状態です。
埋もれているクリニックを見ると、驚くほど共通しています。
口コミを集める声かけをしていない。Googleマップの投稿機能で情報を更新していない。適切な写真をアップロードしていない。そして、営業時間や住所、電話番号すら正確に設定されていないことさえあります。
これでは、看板を立てて放置しているのと同じです。地図に載っていても、患者から見れば「情報が古くて、口コミもなくて、写真もない、よく分からない院」でしかありません。
MEOと聞くと、多くの人が「口コミを増やすこと」だと思っています。それは半分正しくて、半分間違っています。
まず、やってはいけない集め方から書きます。ここを間違えると、増やすどころかリスクになります。
割引や特典と引き換えに口コミを書いてもらう。お金を払って口コミを書いてもらう。——これらは、Googleのポリシー違反です。発覚すれば口コミが削除され、最悪の場合アカウントに影響が出ます。医療機関がこれをやるのは、あまりにも危険です。
そして、意外と多いのが「せっかくもらった口コミが、活きていない」ケースです。患者さんが書いてくれているのに、そこに具体的な症状や診療内容のキーワードが一切ない。「良かったです」だけの口コミは、正直、検索での効果が薄い。もったいない話です。
これも、感覚の話ではありません。先ほどのGyro-nの調査で、マップの候補リストから最初にクリックする理由を聞くと、1位は「現在地から最も近い」32.3%ですが、2位は「表示されている口コミの内容が自分に関係ありそう」で20.0%でした。星評価の高さ(15.2%)よりも上です。
点数ではなく、中身が読まれています。
そもそも口コミは、集めるだけでなく読んで自院の改善材料にするところまで行くと、集患の打ち手が変わります。
増えているクリニックは、仕組みにしています
では、自然に口コミが増えているクリニックは、何をしているのか。
答えは、口コミを院内のオペレーションに組み込んでいることです。
うまくいっている院は、患者さんに口コミを書いてもらう時間を、きちんと確保しています。「お会計のあと」「次回予約のとき」——院内の流れのどこかに、お願いする瞬間を組み込んでいる。スタッフの気分次第ではなく、仕組みとして回している。
そして工夫もしています。院内に掲示物を置き、「こういう内容だと、同じ症状で悩む方の役に立ちます」と、書く内容の方向性をさりげなく示す。これは「サクラを書かせる」のとはまったく違います。実際に来院した患者さんが、自分の言葉で、でも役に立つ形で書けるように手助けしているだけです。
「口コミを集める」のではなく、「口コミが生まれる流れを作る」。この差は大きい。
口コミ以外に、効くのにやられていないこと
MEOは口コミがすべてだと思われがちですが、実は口コミ以外にも、効くのにほとんどのクリニックがやっていないことがあります。
ひとつは、写真と動画です。口コミを書いてもらうとき、あわせて写真や動画も投稿してもらう。文字だけの口コミより、院内の様子が見える投稿のほうが、これから行く患者さんの不安をずっと減らします。
もうひとつは、口コミへの返信です。
口コミに丁寧に返信している院は、誠実な印象を与えます。そしてその印象は、口コミを読んでいる「まだ来ていない患者さん」に届きます。返信は、書いた本人へのお礼ではなく、それを読んでいる何百人もの見込み患者へのメッセージなのです。
ただし、正直に書いておきます。Gyro-nが2025年に行った調査(n=600)では、ネガティブな口コミに誠実な返信をしていた場合の印象を聞いたところ、「信頼できる対応だと感じる」は30.8%でした。4割は「どちらともいえない」と答えています。返信すれば必ず来院が増える、という話ではありません。
それでも返信をすすめるのは、3人に1人が信頼できる対応だと受け取るからです。そして次の節で書くとおり、放置した場合の損失のほうがはっきりしています。
悪い口コミがついたとき、やってはいけないこと
低い評価や、厳しい口コミがつくこともあります。このとき、いちばんやってはいけないのは、放置することです。
無視された悪い口コミは、そのまま残り続けます。そして、それを見た人は「この院は、指摘に向き合わない院なんだ」と受け取ります。悪い口コミそのものより、それを放置している姿勢のほうが、印象を悪くします。
数字で見ると、放置の損失ははっきりしています。Gyro-nの調査では、「口コミが理由で来院をやめた経験がある」人が26.0%。4人に1人強です。やめた最大の理由の1位は「医師の対応や説明に関する悪い口コミ」で39.1%でした。
ただし、ここからが大事なところです。★1〜2の低評価を見たときの反応を聞くと、「即座に敬遠する」は12.5%しかいません。61.0%は「投稿者の書き方次第で判断する」と答えています。
つまり、低評価がついた時点で終わりではない。読んでいる人の6割は、書かれ方と、それに対する院の反応を見て決めています。放置すれば「向き合わない院」として読まれ、誠実に返せば「向き合う院」として読まれる。その差がつくのが、この6割の部分です。
点数のほうも見ておきます。メディカル革命 byGMOの調査(n=15,715)で「口コミ評価が何点以下なら行きたくないか」を聞くと、最も多いのが「2点以下」で26.8%、次いで「2.5点以下」が22.2%でした。「3点以下」は12.0%です。
つまり、★1〜2が数件ついた程度で見放されるわけではありません。問題になるのは、平均が2点台まで落ち込むほど放置した場合です。1件ずつ向き合っていれば、そこまでは落ちません。
正しい対応は、逆です。厳しい指摘こそ、誠実に受け止める。原因を分析し、具体的にどう改善するかを返信で伝える。そうすれば、その口コミは「クレーム」ではなく、「この院は真摯に向き合う」という証拠に変わります。読んでいる人は、そこを見ています。
感覚でやる業者に、任せてはいけません
最後に、MEOを業者に頼むときの話をします。
正直に言います。MEOを、感覚で支援している業者がとても多い。「口コミを増やしましょう」「投稿を頑張りましょう」——言っていることは間違っていなくても、何を根拠に、次に何をすべきかを、数字で示せない。これでは、成果が出ているのかどうかすら分かりません。
当社も、順位や施策の状況を数字で見える形にして支援しています。詳しくはMEO支援のページに書きました。
見分け方はシンプルです。「次に何をすればいいか」を、数字の根拠とともに答えられるか。それだけです。感覚で「頑張りましょう」としか言わない業者は、避けたほうがいい。
明日、できること
最後に、明日できることを3つ書きます。どれも無料で、今日中に終わります。
- 自院のGoogleビジネスプロフィールを、患者の目で開いてみてください。スマホで、自分の院名ではなく「◯◯市 内科」のように検索して。営業時間は合っているか。電話番号は今のものか。写真はいつのものか。
- 口コミを最初から最後まで読んでください。返信していないものが何件あるか、数えるだけで構いません。
- 返信していない口コミのうち、いちばん古いものに1件だけ返信してください。全部やろうとすると始まりません。1件で十分です。
3つ目を「いちばん古いもの」にしているのには理由があります。古い口コミへの返信は、その1件のためではなく、「この院は今も見ている」と読んでいる人に伝えるためです。返信は、書いた本人ではなく読者に向けたものだからです。
Googleマップへの登録は、スタートラインにすぎません。そこから、口コミが生まれる仕組みを作り、写真で不安を減らし、返信で誠実さを示し、情報を正確に保つ。この地道な運用の差が、埋もれる院と、選ばれる院を分けます。
そして、それを感覚ではなく、数字を見ながら進めること。当社がMEO支援で大切にしているのは、この一点です。