TOPCOLUMN / 記事詳細

COLUMN

コラム

採用

欠員補充の相談は、急に起きたものではありません

欠員補充の相談は、急に起きたものではありません

欠員補充の相談は、たいてい前から始まっています

欠員補充の相談は、たいてい前から始まっています。急に人が足りなくなったように見える現場の多くは、前から兆しを抱えていました。 相談の時点で、急ぎに見えているだけです。

いま欠員を抱えているなら、先に期限と人数を決め、そのうえで手段を並べます。 急ぎの手段には紹介会社とスポットがあり、並行してチームでも採用に動きます。それぞれの使い分けは後の節で書きます。その前に見ておきたいのが、急ぎの相談がどこから来ているかです。

当社は人材紹介の事業も営んでいて、採用の支援を希望する会社から連絡をいただくことがあります。そのなかには「今月中に1名」「来月までに1名」という急ぎの相談も含まれます。相談をくださる側は、本当に急いでいます。その急ぎは本物です。ただ、話を聞いていくと、その現場はたいてい2つの形のどちらかに当てはまります。

1つは、常に欠員が出ている形です。1人埋まったと思ったら、別の1人が抜ける。欠員があることが、いつもの状態になっています。誰かが抜けるたびに求人を出し直しているので、採用はずっと続いているのに、人数は増えません。

もう1つは、辞めそうな兆しが、すでに掴まれていた形です。誰かの様子が変わっていることに、周りは気づいていた。気づいたまま、しばらくそのままになっていた。そして、本人から話が出た日に、急ぎに変わります。

どちらも、急に起きたことではありません。「今月中に1名」は始まりではなく、続いてきたものが最後に見せる形です。数えて統計にしたわけではないので割合までは言えませんが、当社が受けてきた急ぎの相談では、この2つのどちらかであることが多いと感じています。どちらの形でも、相談が届いた時点で、残っている時間はもう短くなっています。

いなくなると分かってから、何か月ありましたか

「来月に1人いなくなるから、来月までに1人欲しい」。この言い方には、すでに答えが入っています。 いなくなると分かった時点で、残りは1か月です。

採用の支援を希望された会社から、この形の相談が何社も続いたことがあります。言い回しはそれぞれでも、骨組みは同じでした。いなくなることは、少し前から分かっていた。それでも、決まるまでは動いていなかった。

1か月で人を採るのは、看護師でも理学療法士でも簡単ではありません。求人を出し、応募を待ち、面接をして、入職の日を合わせる。どれも相手のある話なので、こちらの都合では縮められません。分かった日から数えると、多くの場合、もう余裕のない位置にいます。

しかもこの1か月は、抜ける人がまだ働いている1か月でもあります。引き継ぎをしながら、採用も進める。現場の手は、いちばん足りなくなる直前に、いちばん多くのことを抱えます。

分かっていたのに動かなかった理由を、当社から言い当てることはできません。ただ、多く見てきたのは、管理する側が気づいたまま手を付けず、欠員が出て損害がはっきりしてから焦るという流れです。人が抜けて、シフトが組めなくなって、受けていた依頼を断る話が出て、そこで初めて急ぎになります。

損害がはっきりするまでは、困っているのは現場だけです。経営の数字には、まだ出ていません。数字に出た時点で、ようやく経営の問題として扱われます。

欠員の間に何が壊れるかは、紹介手数料の中身を開示した記事で書きました。「残ったスタッフに負荷が寄り、疲弊が始まり、最悪の場合は連鎖離職につながります。」 1人の欠員が、2人目の欠員を呼ぶということです。

辞める本人に兆しが出ていることも、「辞めます」と言われた時点で手遅れになる理由として別に書いています。この記事で見ているのは、その兆しを受け取る側です。本人が出していた兆しを、組織が見ないままにしている。 欠員補充が急ぎになるのは、たいていこの間です。

いま同じ形で急いでいるなら、まずは目の前の1人を埋めることが先です。そのうえで、次に同じ形を繰り返さないために、この先の節を読んでください。

今日の穴を埋める手段は、増えています

急ぎの穴を埋める手段は、紹介会社だけではなくなりました。スポットで働く人を1日単位で受け入れる形が、医療の職種にも出てきています。

紹介会社を使う判断については、当社も紹介の事業者として、緊急時には紹介を使うべきだと書いています。人員の基準を割りそうなとき、待っている余裕がないときには、手数料を払ってでも事業を止めないほうがいい。この考えは変わりません。

そこに、もう1つの選択肢が加わってきています。看護師や理学療法士、医師も含めて、スポットで働く人を受け入れる仕組みです。1日だけ、数時間だけ、という働き方をしたい人と、人手が足りない日の現場をつなぐものです。

ただ、スポットで埋まるのは、その日の穴です。欠員そのものが埋まるわけではありません。 毎日違う人が来る形は、利用者との関係や記録の引き継ぎが要る仕事とは、合わない面もあります。急場をしのぐ手段としては役に立ちますが、それだけで欠員を持たせ続けることはできません。

紹介とスポットは、埋めるものが違います。紹介で埋まるのは欠員そのものですが、決まるまでに時間がかかります。スポットで埋まるのはその日の穴で、決まるまでは早い。急ぎのときは、この2つを組み合わせて考えます。

スポットを使うなら、来てもらう人に何を任せるかを、先に決めておく必要もあります。その日だけ来る人に任せられることと、任せられないことがあるからです。

人員に数えられるのかといった、スポットを使うときの制度上の扱いは、別の記事で整理します。事業の種類や契約の形で変わる部分なので、使う前に確かめておく必要があります。

当社は、欠員が出る前に登録しておきました

当社のグループにある訪問看護の会社では、採用がなかなか決まらず、欠員が出そうだと分かった段階で動いていました。紹介会社に声をかけ、スポットのサイトにも受け入れる側として登録しました。

欠けてから登録するのでは遅い、というのが理由です。登録にも確認にも時間がかかります。いざ使うとなったときに、そこから手続きを始めていては間に合いません。使わずに済めばそれでいい、という保険の考え方です。 登録しただけでなく、スタッフが試しに使って、どういう感じなのかを確かめてもいます。

きっかけは、採用がなかなか決まらないことでした。退職の日は見えているのに、次の人が決まらない。この状態が見えた時点で、急ぎの手段を横に置いておくことにしました。登録の手続きは、平時なら落ち着いて進められます。欠員が出てからだと、採用の動きと重なって、どちらにも手が回らなくなりがちです。

一方で、当日の急な休み、たとえば風邪のような突発的なものは、チームのなかで支え合って埋めるのが原則です。突発の穴と欠員の穴は、分けて考えています。外の手段を準備するのは、欠員が見えたときです。突発の休みは数日で戻りますが、欠員は戻りません。同じ「人が足りない」でも、戻るものと戻らないものとでは、打つ手が違います。

当社の訪問看護では、これまで人員としての欠員を出したことはありません。規模の小さい事業所での話で、どこでも同じようにいくとは言えません。それでも、欠員が出てから探すのと、出る前に動いておくのとでは、始められる時期が違います。始められる時期が違えば、選べる手段も変わります。

欠員補充は、期限と人数を決めてチームで動きます

欠員が確定したら、「何年何月までに何人」を先に決めます。 期限と人数が決まらないうちは、欠員補充は「そのうち埋める」のままです。

当社では、欠員が確定した時点で目標をこの形で置き、チーム全体で採用に動くことにしています。知り合いに声をかける、紹介を頼む、といった採用の動きを、管理者だけが抱えるのではなく、同じ期限をチーム全員が知っている状態でやります。

採用を管理者1人の仕事にしてしまうと、管理者が現場の穴埋めに入った時点で止まります。管理者が現場に入ると何が止まるかは、別の記事に書きました。人数まで決めるのは、抜けた人数と同じとは限らないからです。長く勤めた人が抜けた穴は、1人では埋まらないこともあります。

期限を置く理由は、期限の無い欠員は、見て見ぬ振りに戻りやすいからです。前の節で書いた、気づいたまま手を付けない流れは、期限の無いところで起きます。日付が入っていれば、あと何週間残っているかが全員に見えます。期限は、守れなかったときにも意味があります。期限を過ぎた時点で、手段を増やすかどうかを決め直せるからです。

もう1つ、欠員が出たときには、チームとしてどんな人が必要かを言葉にするようにしています。抜けた人と同じ人を探すのではなく、いまのチームに何が足りないかから決める。この決め方は、求める人物像をチームから逆算する方法として別に書いています。

そして急ぎの手段とは別に、欠員が出る前に採用の母集団をつくっておく動きも並行させます。期限を決めて動くのは今回の欠員のため、母集団をつくるのは次の欠員のためです。

明日、できること

新しい手段を探す前に、いまのチームの半年先を見てください。 急ぎの相談の多くは、ここを見ないまま時間が過ぎたところから始まっています。

具体的には3つです。

  1. いなくなりそうな人を、名前で挙げる — 様子が変わった人、口数が減った人。挙げるだけで、まだ何もしなくて構いません
  2. 欠員が確定したら、その日のうちに期限と人数を決める — 「何年何月までに何人」を、チームと共有する
  3. 急ぎの手段の登録を、欠員が出る前に済ませておく — 紹介会社への相談も、スポットの受け入れ登録も、使うかどうかは後で決めればいい

1つ目がいちばん難しいはずです。名前を挙げることが、見て見ぬ振りをやめる最初の一歩になります。挙げてみて初めて、気づいていたのに置いていた、と分かることがあります。

挙がった名前が1人でもあれば、その時点で期限と人数を仮に置いておくこともできます。まだ欠員ではないので、急ぎにはなりません。2つ目と3つ目も、欠員が出る前にチームで話しておけば、確定した日に迷わずに済みます。

欠員が出る前の備えから、急いで採る必要が出たときの動き方まで、外の目を入れて整理したいときは、採用の支援でもご一緒できます。まずは、いまのチームで誰がいつまで在籍しそうかをうかがうところから始めます。

CONTACT

組織のこと、キャリアのこと。まずはお聞かせください。

コラムで触れたテーマの具体的なご相談も歓迎です。組織・採用・Web・キャリアのお困りごとは、お気軽にお問い合わせください。

GET IN TOUCH